有福温泉の魅力を考える
“負ける続ける戦いは得意でね”
とは、片方の男が好きなアニメの台詞らしい。
アニメとは使われている意味は異なるかもしれないが、おそらくこの2人も”負け続ける戦いは得意“なのではないか。
そう思うほど、
二人は「弱者の兵法」を用い、「局地戦」に長けていて、
つまりは「ジャイアントキリング」好きなのだ。
その二人は考えた。
有福温泉の「局地戦」ができそうなところはどこか。
古くから愛される天然かけ流しの温泉ではないか?
有福という名前か?
各旅館のおもてなしか?
確かにどれもが魅力であり、有福温泉の武器である。
しかし、二人はそれだけが有福温泉の魅力ではあるとは考えなかった。
外から入ってきて、一定期間そこで過ごした彼らだからこそ感じることがあったのだ。
一人の男は考えていた。
有福温泉には「ホンモノ」がある。
天然かけ流し温泉という「ホンモノ」があり、
古くから人々に愛され、人々を癒してきた歴史がある。
本物志向を追求した旅館が栄えた時期もあった。
有福温泉とは「ホンモノ」のまちである。
もう一人の男は考えていた。
有福温泉で過ごしているとどこか心が軽くなるような気がする。
それはきっと「ゆったり」としているからだろう。
温泉の効能なのか、名前のお陰なのか、そこで出会う人の力なのか。
とにかく、有福温泉とは「ゆったり」のまちなのだ。
二人はそれぞれが考える有福温泉の魅力をすり合わせ、それが有福温泉の独特な雰囲気にあるではないかと考えた。
鄙びた温泉街、ホンモノの温泉、自然に囲まれた環境、すり鉢型の谷底に作られた街…
そうした様々な要素が組み合わさって醸し出される雰囲気こそが有福温泉の最大の魅力なのではないか、と。
そして、その魅力を最大化するために動き出した。
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